この記事を読むとわかること
- 『ヤンヤン』のロケ地が描く“記憶の風景”
- 台北の街並みと家庭の空間が持つ意味
- 4K映像が映し出す“都市の息遣い”の魅力
台湾映画史に残る傑作『ヤンヤン 夏の想い出』。
その静かで深い物語は、台北という都市の中で描かれた“記憶の風景”でもあります。
この記事では、ヤンヤンの視線が捉えた街の風景とともに、撮影されたロケ地をめぐるガイドをお届けします。
台北市内の主なロケ地
① 市立中学校付近:ヤンヤンの日常が始まる場所
物語の出発点ともいえるのが、ヤンヤンが通う学校周辺。
制服姿で歩く通学路や、クラスメイトとのやりとりが行われる中庭など、“少年の目線”を意識した構図が印象的です。
② 公園と団地:家族の会話と沈黙が交差する風景
父や祖母との散歩、ティンティンの葛藤など、静かなシーンが多く描かれる団地内の公園。
広場やベンチの無言の空間が、逆に“記憶”を強く残す構成となっています。
③ オフィス街:父・NJのビジネスシーンの背景
父が働くオフィスは、台北中心部の高層ビル群の一角にある現代的な空間。
家族との時間とは対照的な“合理と速度”が支配する場所として、父の内面の揺れを強調するロケーションです。
“記憶の場所”としての住宅地
④ ヤンヤンの家周辺:階段とバルコニーの意味
ヤンヤンが暮らす団地には、家族の記憶が積み重なる空間としての意味があります。
無言で登る階段、祖母のいる部屋の窓、夕暮れ時のバルコニーなど、“動きのない風景”が内面の変化を映し出します。
⑤ 台北郊外:ラスト近くの静寂に包まれた場面
物語の終盤では、都市の喧騒を離れた郊外の風景が登場します。
木漏れ日、音のない道、そして手紙を読む静けさ──それらは、人生の“記憶”をたどる最後の舞台となっています。
4Kレストア版で鮮やかに甦る“都市の息遣い”
⑥ 台北の色・空気・時間の変化が描かれる理由
4Kレストア版で甦った映像は、台北という都市が持つ“生活の温度”をよりリアルに映し出します。
光の移ろい、夕暮れの陰影、団地の外壁に滲む雨の痕跡──これまで見落としていた“空気感”が、物語の深みを増す鍵となっています。
画面の中の距離感も印象的で、人物と背景の関係性がより鮮明になったことで、観客が“その場にいるような”没入感を味わえるようになりました。
この記事のまとめ
- 『ヤンヤン 夏の想い出』の主なロケ地は台北市内
- 中学校、公園、団地など少年の視点で描かれる風景
- 団地の階段やバルコニーが記憶の象徴として登場
- 郊外のラストシーンが静けさを際立たせる
- 4Kレストアで都市の色・光・空気まで再現



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